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横浜地裁=2018年11月6日、横浜市中区

 横浜市鶴見区で交際相手の長男(当時4)を暴行して死亡させたなどとして、傷害致死と傷害の罪に問われた元配管工の内田正也被告(32)の裁判員裁判の判決で、横浜地裁は21日、いずれも無罪(求刑懲役12年)を言い渡した。吉井隆平裁判長は「被告が暴行を加えたと認めるには合理的な疑いを入れる余地がある」などと述べた。

 起訴内容によると、被告は2017年9月24日、自宅で同居女性の長男、紺野叶志郎(きょうしろう)ちゃんのおでこを殴って1週間のけがを負わせ、18年1月23日、頭や首に強い力を加えて、頸髄(けいずい)損傷による脳浮腫などで死亡させたとされた。被告は公判で一貫して無罪を主張していた。

 検察側は、頸髄損傷などは強い外力によって生じたと主張。当時、女性は不在で、犯行が可能なのは被告だけだとした。弁護側は、たんの誤飲による窒息やソファからの転落などで死亡した可能性があると反論していた。

 判決は、検察、弁護側がそれぞれ証人とした複数の医師の証言を検討。検察側の主張する頸髄損傷は生じておらず、気道閉塞(へいそく)など何らかの要因で心肺停止状態に陥り、頸髄に変化が生じたとする弁護側証人の供述が「不合理とは認められない」と判断した。傷害事件については女性の供述が信用できず、被告が殴ったのは別の日である疑いが残るとした。

 被告の弁護人は判決後、「適切な判決。被告はやっていないとずっと主張しており、認められてよかった」と話した。横浜地検の塩沢健一次席検事は「判決内容を精査し、適切に対応したい」とコメントした。

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